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日本の絵本・さ行

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注意書き表紙画像は、各出版社より許可を得て掲載しています。無断使用は著作権の侵害にあたりますのでご注意下さい。


さかさまライオン

さかさまライオン
内田麟太郎(うちだ・りんたろう):作
長新太(ちょう・しんた):絵
童心社 207×222 40p
1985/09/20第1刷 1988/02/01第9刷

こんな暮らしは、もういやだと思った。ライオンが走るたびに、影は石ころに頭をぶつける羽目になる。もちろん影は何度も逃げだそうとはしたのだが成功しなかった。ある夜、暗やみに影は必要ないからと、ライオンは影を残してどこかに遊びに行ってしまった。自由になった影が、こっそり動物に近づいても気がつかない。そこでシマウマの影にがぶりと食らいつき、骨だけの影にしたのに、あれれ歩いていってしまった…。朝露の影をたっぷりなめると、影のおしっこもたっぷり出る。とてもいい気分だったのに、向こうから来るライオンが、自分の足もとばかり見つめて歩いている。影は思わず言った。「あんた、それでもライオンかい!」

MEMO 作家と画家の組み合わせの妙。長新太さんの絵は今にも走り出しそう。

※参考サイト
⇒「内田麟太郎オフィシャル・サイト」http://www.max.hi-ho.ne.jp/rintaro/home.htm

※その他の作品
『うそつきのつき』(文溪堂)
『ただいまいわないもん 』(金の星社)
『あしたもともだち 』(偕成社)
『ともだちひきとりや』(偕成社)
『ともだちや 』(偕成社)
『そらとぶアヒル 』(童心社)
『魔法の勉強はじめます 』(童心社)

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さかな1ぴき

さかな1ぴきなまのまま
佐野洋子(さの・ようこ):作/絵
フレーベル館 265×215 32p 1000円+税
1978年12月第1刷 2003年9月第13刷

おばあさんと暮らす一匹のネコの男の子は、ある日本当のお友達を探しにでかけることにした。途中、道に縄が一本落ちていた。縄とびしながら行こうと拾い上げると、それはヘビだった。ヘビは自分も友達を探しにいくところだという。知り合いになれたとよろこぶヘビにネコの男の子は言い訳をいっぱいすると一人で先に歩き始めた。

MEMO 主人公はいかつい顔していて見た目ちっとも可愛くない。気のいいヘビをなんとか避けようと苦心さんたんする始末。文字数は多いが繰り返しが続くので長く感じさせない。
佐野洋子さんといえば小学校の教科書に出てきた『おじさんのかさ』や、めだかの学校でも取り上げている『100万回生きたねこ』が有名で、これらは今でも書店の絵本コーナーで見かける。この二冊を合わせたよりも好きなのが『さかな1ぴきなまのまま』。タイトルからして気になりませんか?

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ざりがに

ざりがに はじめてであう科学絵本
吉崎正巳(よしざき・まさみ):文・絵
須甲鉄也(すこう・てつや):監修
福音館書店 255×230 23p 480円
1976/04/01新版 1977/07/15第2刷

田んぼの横の小川の土手の上にはバケツ。棒切れに結んだ糸を水にたらす子ども。 水の中に何か見つけた男の子。「いたい!」 ザリガニは、男の子の指をはさんだ大きなハサミだけを残し素早く逃げていく。 今度は、もっともっと大きなザリガニがやってきて、一本ハサミのザリガニの獲物のヤゴを横取りした。 一本ハサミのザリガニは諦めて巣に戻るしかない…。

MEMO 脱皮・繁殖・子育てと、ザリガニの一生が分かりやすく描かれています。 後半の見開き二枚のページの三分の二を使った巨大なサイズのザリガニの絵は迫力あります…というより恐い。ザリガニの一番の敵は、きっと人間の子どもだ。

※その他の作品
めだか』(福音館書店)

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さるとかに
神沢利子(かんざわ・としこ):文
赤羽末吉(あかば・すえきち):絵
銀河社 305×215 40p 1300円
1974/08/10第1刷 1987/08/25第31刷

さるが拾った柿の種。かにが拾ったのはおむすび一つ。おむすびは食べてしまえばそれっきりと言って、まんまと交換に成功したさる。ところで、かには種を植えると、せっせと世話をした。

はよう めをだせ かきのたね ださんと はさみで ほじくるぞ
はようきになれ かきのめ ならんと はさみで ちょんぎるぞ
はようみがなれ かきのき ならんと はさみで ぶったぎるぞ

たくさん実がなって、とろうとするが、かには何度も木からおっこちる。 登れないし、もちろん手も届かない。 そこへ、さるがやってきて柿の実をもいでくれると言うのだが…。

MEMO 蟹の子があだ討ちに向かう。子どもたちがえんえんと連なって「さるのばんば」へ、がしゃがしゃがしゃと。この時手助けしてくれるものが現れ、次のような会話が両者になされる。このあたりはまるで『桃太郎』に、そっくり。

「かにどん かにどん どこへいく」
「さるの ばんばへ あだうちに」
「こしのものは なんだ」
「にっぽん一の きびだんご」
「ひとつくれたら なかまになろう」

くまんばち、くり、うしのふん、うすが がしゃがしゃ、ぶんぶん、ころころ、ぺたりぺたり、ごろんごろん…と、行進する様子が目に浮かぶよう。

MEMO 赤羽さんの挿絵は豪快で、大型絵本だから一層迫力を増す。見開きいっぱいを使っての挿絵が何ヶ所か出てくるのも嬉しい。
かにむかし』(木下順二/岩波書店)では、(1)柿の種を海辺で拾う。(2)蜂が一番に登場する。(3)「はぜぼう」が出てこない。
また、未確認ではあるが主人公の異なる類話が世界中に分布するとのこと。
ところで 「うしのふん」の役目は何だったか、すっかり忘れてた。また思い出せない方のためにというより、また忘れそうな自分のために書いておく。とぐちの外に座り込んだ糞を猿が逃げ出す時にふんずけてすべってしまう。見開きの端から端まで、猿は見事にすべってる。「糞」はこの時点で消滅か…と思ったら、ひしゃげた形で最終ページに存在していました…とさ。

※芥川龍之介による後日譚が、青空文庫で読める。
⇒『猿蟹合戦』 http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/140_15196.html

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さるとびっき

さるとびっき 山形の昔話
武田正(たけだ・ただし):再話
梶山俊夫(かじやま・としお):画
福音館書店 270×200 32p 800円
1982/11/01発行 1998/06/01特製版

こんぴらやまのふもとに猿とびっき(カエル)が住んでいた。猿が田んぼを一緒に作ろうと、びっきを誘った。しかし、早々にズルを決め込み、びっき一人を働かせた。 ついでに「くろぬり*1」も、土起こしも、押し付けた。ほめられ、おだてられて、悪い気がしないびっき。で、どうしたかというと「のどを へこへこさせて、よろこんだ」そうだ。当然、耕すのも田植えも雑草取りも、そんな調子。
そうこうするうちに実りの季節が来た。今日も、びっきは一人で稲刈りの作業をする。ところがすべてが人まかせではなかった。 猿は張り切って「かりあげ*2」の餅をつく。餅をつきつき、欲の深いことを考え付いた…。

やまのうえから、もちに はいった うすを ころがして、さきに もちをひろったものが くうことにすべえ」

*1 くろぬり(畦塗り)⇒田植前に鍬(くわ)で盛った土を塗り付けて、畔から水漏れしないよう整える。
*1 かりあげ⇒稲刈りの後の宴会

MEMO 原話の語り手は、山形県の最南端にある西置賜郡小国在住の川崎みさをさん。
「むかしあったけど」で始まり、「むかし とーびん、びったり さんすけ」が結句。猿のほっぺたと、お尻が赤くなったいきさつがなかなか愉快。 東北弁が、ほんわかと温かくて耳に心地よく響く。

※その他の作品
『河童よ、出てこい』(福音館書店)
『わらべ唄歳時記』(岩崎美術社)
『羽前の昔話』(日本放送出版協会)

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三コ

三 コ
斉藤隆介(さいとう・りゅうすけ):作
滝平二郎(たきだいら・じろう):画
福音館書店 310×230 35p
1969/08/15初版 1974/08/31第11刷

ここは、秋田の平野オイダラ村。三コと呼ばれる水のみ百姓の小セガレの話。何百年もの間には三コの声を聞いたり、北風の先頭きって走るのを見た者もいる。 「谷川に橋があるといいのに」と嘆いていたら、嵐の後、太い木の橋がかけられていたとか。ある霧の日、ハゲ山のオイダラ山のふもとに二本の柱が立っていた。 霧が晴れると山に腰かけ考えごとをしている三コの姿があった。目の前に現れた柱は三コの毛ズネだったのだ。土地をわけてはもらえないオンチャたちが故郷を捨てる相談をしていた時、突然三コが現われた。三コに何ができるのか。

MEMO 「オンチャ」とは百姓にうまれた次男坊や三男坊たちのこと。作者のあとがきによると、この作品は十数年間の間に十数回書き直された。六十枚の物語に、三十枚のラジオドラマに、数枚の詩に。そしてやっとこの「三コ」に定着したという。

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サンタクロースってほんとにいるの?

サンタクロースってほんとにいるの?  かがくのとも傑作集
Daddy Is There a Santa Claus?
暉峻淑子(てるおか・いつこ):文
杉浦範茂(すぎうら・はんも):絵
福音館書店 260X230 28p 780円
1982/10/01第1刷 1992/09/20第22刷

お風呂に入りながらパパに聞いた、そのあとも、そのあとも…。サンタクロースって ほんとに いるの? 煙突がなくても、ドアにカギがかかっていても入れるの? ぼくの欲しいものが何だかわかるのはなぜ? お父さんやお母さんにはどうしてこないの? …みんなは言う「サンタはいない」って。

MEMO 子どもたちからの質問攻めの度に、お父さんもお母さんも優しく答えてくれる。子どもにもわかるように。生活経済学者の暉峻淑子(てるおか いつこ)さんが、子どものために書いた科学絵本。

※参考図書
『サンタクロースの部屋』松岡享子著(こぐま社)より引用

…心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。 サンタクロースその人は、いつかその子の心の外へ出ていってしまうだろう。 だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、 ここに迎えいれることができる…。

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サンタのおもちゃ工場
たむらしげる:作
リブロポート 220×300 32p 1200円
1984/11初版 1991/11/01新装版第2刷
1998年メディアファクトリーより再刊

雪の降り積もった夜のこと。サンタさんからの手紙を持ったロボットが、ルネくんの家にやってきた。 「今年も雪だるま作りを手伝ってほしい」と。ロケットのオーロラ号は、秘密の道を通り抜けて北極までひとっ飛び。 北極では、白クマくんも一緒に雪だるま作り。そして、サンタさんが「じゅもん」をとなえると…。

※参考サイト
⇒「たむらしげるスタジオ通信」 http://www.tamurashigeru.com/
⇒「TAMURA's WORLD」 http://www.daijobu.co.jp/home/tamu/t_index.html

MEMO オフィシャルサイト「たむらしげるスタジオ通信」で表紙画像と中味が見られる。紫色が印象的な絵本。ルネとスリムなサンタさんたちとのにぎやかな一日が繰り広げられるなか、小さなものから大きなものまで、おもちゃ工場で作られたプレゼントたちが勢ぞろいした場面は壮観。この絵本に登場するロボットはロボットで、ランスロットではない。

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三ねんねたろう

三ねんねたろう
大川悦生(おおかわ・えっせい):ぶん
渡辺三郎(わたなべ・さぶろう):え
ポプラ社 255×230 23p 650円
昭和42年7月15日第1刷 昭和61年3月30日第39刷

正直で働き者の若者がいた。ある時から、何もしないで寝てばかりいるようになった。いつのまにか人は彼を「ねたろう」と呼ぶようになった。 大人は取り合わなくなったが子どもたちは興味津々。つついたり、くすぐったり…。 ねたろうが眠りについてから三年と三月。今日は村の鎮守の秋祭り。むくっと起き上がったねたろうは、どんどん歩いていく。 隣村を通り越してもどんどんどんどん歩いていく。みんながその後をついていくと…。

MEMO 山口県山陽町厚狭につたわる農民伝説より再創造した作品。 全国各地に見られる『ねたろう』の中でも,木下順二の『三年寝太郎』は代表作といわれる。 3年とは、とてつもなく長い眠りだが、大人が事実として受け入れてしまった後も子どもの好奇心をくすぐって止まない。 はなしの後半の溝堀りを手伝う部分は、斉藤 隆介の『半日村』と類似。まず始めるのは子どもたち。

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三びきのくま

三びきのくま
瀬田貞二(せた・ていじ):訳
丸木俊(まるき・とし):絵
福音館書店 210×190 31p 250円
1971年4月発行  スーパーブックス

むかしむかし、かわいいちっちゃいクマ、ちゅうくらいのクマ、すごくおっきいクマが森の中に住んでいた。 おかゆのどんぶりもイスもベッドも、それぞれちっちゃいの、ちゅうくらいの、おっきいのを持っていた。3匹が朝ご飯のおかゆが冷めるまで森に散歩に出かけた、ある日のこと。

留守中「きんきらこちゃん」がやってきて家の中に入り込み、おかゆを見つけた。 この子がおりこうさんだったら、クマが帰るまで待っていて朝ご飯をごちそうになっただろうけど、きんきらこちゃんは、おっきいクマのおかゆを一口食べて「おおあつい」、 ちゅうくらいのクマのおかゆは「おおつめたい」。ちっちゃいクマのおかゆは「熱すぎないし冷たすぎないで丁度いい」と、すっかり食べてしまった。

「さんびきのくまブックリスト」

MEMO 胸に白い三日月模様はアジアからロシアにかけて広く分布するツキノワグマ。 三びきは、森の中に家を建てて「一緒に暮らす」というあいだがらで、親子とは言明していない。 それぞれ3つずつのイスやベッドは一番小さいクマのものを中心に配置されている。おかゆの入れ物の「どんぶり」や「スプーン」をはじめとして家の中の調度は色彩豊かで心地よさげ。 表紙画像でも見られる食器は黒と金と赤を基調にした「ホフロマ塗り」かと思う。

挿絵の丸木俊は、著書『女絵かきの誕生』(朝日選書/1977年)によると、女子美術卒業後4年間の教師生活をへて、1937年モスクワに赴任する外交官(一等通訳官)の、 そして1940年にはモスクワ大使館参事官の子女の家庭教師として二度のロシア滞在の経験がある。風景のどこを切り取っても絵になると、自由時間にはひたすらスケッチを続けたという。

訳者の、子どもと子どもの本についての1956〜1976年にかけてのエッセーをまとめた『瀬田貞二 絵本論』(P146〜P147)には、 一つの主題をたくさんの画家が手がけた例としてこの『三びきのくま』をあげ、三匹は「父と母と子」とあり、女の子を「きんきらこ」ちゃんと訳した。女の子の名前に関しての部分を以下に引用する。

サウジーの原作では、へんなおばあさんだったのが、いつしかシルバー・ヘアーという娘さんになり、 それもまたゴルディロックというはねっかえりの名にかわってしまった…。

丸木俊は「きんきらこ」ちゃんを、幼さと色っぽさをあわせ持つ女の子に描いている。(2009/03/05 丸木俊の略歴一部追記)

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三びきのこぶた

三びきのこぶた--イギリス昔話
瀬田貞二(せた・ていじ):訳
山田三郎(やまだ・さぶろう):画
福音館書店 270×200 20p 300円
1967/04/01初版 1973/06/15第15刷

むかしあるところに、お母さんぶたと三匹の子ぶたがいた。 とても貧乏だったので、お母さんは三匹を自立させるため、外に出すことにした。最初に出ていった子ぶたが作ったワラの家も、次の子ぶたの木の枝の家も、 オオカミに一息で吹き飛ばされ、子ぶたたちは食べられてしまった。 三匹目の子ぶたの家は、レンガでこしらえた家。 オオカミがどんなにりきんでも、この家ばかりは吹き飛ばせない。 オオカミは作戦を変更した。リンゴを採りに、お祭りにと、あの手この手で子ぶたを外に連れ出そうとするが結局失敗ばかり。 とうとうレンガの家の煙突から家の中に入ろうとしたのだが…。

MEMO 食べられてしまった二匹の子ぶたのこと。 逆に、三匹目の子ぶたに食べられてしまったオオカミのこと。昔話にはとても残酷な話が多いですね。 家が貧乏なので自立のためにと子どもを世間出してしまう親ぶた。そんな内容だったということを、これを読むまで知りませんでした。 最終ページの作者紹介によると、挿絵の山田三郎さんは、人形工房をへて人形劇団プークの再建に参加、人形劇、人形映画の仕事に従事した…とあります。 色調を抑えた挿絵は動きもあり雰囲気がよくでていてお薦めです。
こんな話もありということで ⇒『三びきのコブタのほんとうの話』(岩波書店)

※その他の作品
おだんごぱん』(福音館書店)
ふるやのもり』(福音館書店)
わらしべ長者』(岩波書店)

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さんまいのおふだ

さんまいのおふだ 新潟の昔話
水沢謙一(みずさわ・けんいち):再話
梶山俊夫(かじやま・としお):画
福音館書店 270×200 32p
1978/01/01第1刷

新潟の昔話。山のお寺に、おしょさんと小僧が住んでいた。 ある日お使いに出た小僧は、夜になっても道に迷って帰れない。 山のむこうに灯りが見えて…。 そこは、おばばの家だった。 泊めて貰ったのはいいが、夜中に、おばばが便所にまでついてくる。 おまけに腰は縄で縛られて「はやくしろ」と引っぱられる。 便所の神様にもらった三枚のお札を手にして、小僧は急いで逃げ出した。「こぞうまて、こぞうまて」と、逃げても逃げても、どこまでもついてくるおばば。 お札で作った「山」を、「川」を、「燃えさかる火」を越えて、しつこく、どこまでもついて来る。ようやく寺まで逃げ帰った小僧は戸を開けてと何度も叫ぶ。 だが、おしょさまはのんびりとしたもの。「ふんどししめて、帯しめて…」などと、中で呑気な声がする…。

MEMO 神様のくれた三つの護符は、話によって鏡、櫛、針、玉と変わる。 結句の「いちご さかえた なべのした ガリガリ」これは造語なのか、 それともこんな言い回しが越後地方には残っているのだろうか。昔話の始まり方や終わり方で語られた地方が推察できるが、これはまた別の機会に。

※便所の神様=厠神(かわやがみ)について。センチ神、便所神、シリシリ神、そしてカンジョ神。 そういえば子どもの頃はやしたてる言葉に「べべんじょ、かんじょ、鍵しめた、天の神様あずけた」というのがあった。 「汚いものに触れた(踏んだ)人に触られてもうつらないように」という時に使った記憶があるが、便所もカンジョも厠の神様とは。漢字では「閑所神」と書く。(2003.10追記 )

※その他の作品

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11ぴきのねことぶた

11ぴきのねことぶた
馬場のぼる(ばば・のぼる):作
こぐま社 260×190 44p 900円
1976/12/15第1刷 1979/06/10第11刷

11ぴきのねこが旅をする。はらっぱをどんどん行くと、一軒の古い空家が見つかった。 みんなでクモの巣だらけの家を大掃除。きれいになった空家にそのまま住むことにしたとき、窓からぶたさんが話しかけてきた。 おじさんがこのあたりに住んでいるらしいが、誰にも分からない。そのうち、ぶたさんは、おじさんの家を探すのをあきらめて丸太で家を作りだした。 一人では大工仕事も中々はかどらない。 見かねた11ぴきは家作りのお手伝いもあって、ようやく立派な家ができたとき…。やっぱり11ぴきの性格は変わらない。

MEMO いい子じゃなくて自分勝手なんだけど憎めない11匹。 よく読んでる割に手持ちがなかった珍しい絵本。 『11ぴきのねこ』が一番印象に残ってる。文字が読めなくてもストーリーがわかるので年齢制限なし。

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14ひきのひっこし 14ひきのひっこし

14ひきのひっこし
岩村和朗(いわむら・かずお):作
童心社 184×266 32p 1000円
1983/07/10第1刷 1985/02/20第14刷
右の画像:カバー、左の画像:表紙

おとうさん おかあさん おじいさん おばあさん、そして きょうだい 10ぴき。 ぼくら14匹の家族は森の奥を目指して、崖を登りやぶを進み命づなをにぎりしめ川を渡る危険な旅。無事に新しいおうちは見つかるのだろうか。

MEMO 14匹が正面を向いている表紙カバー(画像・右)をはずすと、 表紙(画像・左)には別の絵が描かれている。このことを、本好きの友達に指摘されるまで気付かなかった…衝撃的な出来事。 優しい温かい色使い。ちょっとした仕草に性格が現れてるので、ページの隅から隅まで14匹の世界を楽しめる。 子どもの名前と顔が中々一致しない。子どもはすぐに覚えたのに…なんでだろう。

※クレヨンハウス主催の「絵本講座」で作者のお話を聞いた。やはり、参加者の中には、カバーと表紙の違いに気付いていない人がいた。 私と同じく、予備知識なしに図書館で借りてブッカーのかかった絵本を読んだ人はそうなる。 多くの本に言えることだが、何かいい解決策はないのかな。岩村さんは、図書館で読んで気に入ったら買って手元に置いて下さいとおっしゃっていた。 『トガリ山のぼうけんシリーズ』では最終ページが次の巻の表紙に続き、全巻揃えて本棚に立てるとトガリ山の全景が見えるとのこと。 今あるのは1巻だけなので見当がつかない。(2003.12.15追記)

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ジオジオのかんむり

ジオジオのかんむり
岸田衿子(きしだ・えりこ):作
中谷千代子(なかたに・ちよこ):絵
福音館書店 270×200 20p
1978/04/01第1刷 1987/11/25第18刷

たてがみの上に王冠をいだく百獣の王ライオン。そのはずだったが、なんだかつまらないライオンのジオジオ。 盗まれたり、落としたりと、卵をなくした小鳥が近寄ってきた。小鳥に内緒で教えてあげよう、安全な場所を…。

MEMO キャンバス地の見えるあっさりとした塗り方もいいなと思わせる挿絵。 動きの少ないシンプルな絵が、逆にじっくりと話を読ませることになる。 表紙でネタバレになってしまうのが惜しい気もするけれど、優しい優しいお話です。

※その他の作品
かばくん』(福音館書店)
スガンさんのやぎ』(偕成社)

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じごくのそうべえ

じごくのそうべえ
田島征彦(たしま・ゆきひこ):作/絵
童心社 251×256 40p
1978/05/01第1刷 1978/12/25第5刷

桂米朝・上方落語 地獄八景(じごくばっけい)より。 軽業師のそうべえと、歯ぬきし、やまぶし、医者の四人が地獄への旅。 乗り物は超特急「火の車」ときた。 地獄というからには、閻魔大王や鬼たちが出てくるのだが、これが愛嬌があって憎めない。 落語の語り口そのままに話は展開する。この四人連れが特技を出し合い、地獄の難関をくぐり抜けてゆく。 そして、ようやく行き着いた先はというと…。

MEMO 冥土で亡者を裁くのは閻魔大王(閻羅王)だけではなかった。 伍官王、五道輪王、初江王、秦広王、宋帝王、大山王、都市王、平等王、変成王の合計十人の王がいた。 この恐ろしい閻魔大王を、逆に困らせる人間がいたという話。

子どもの本にはタブー視されていた言葉が飛び交い、いわゆる可愛い絵本を見慣れた人はそれだけで敬遠したくなるかもしれない。 どんな言葉かは、読んでみてのお楽しみということで。私が持っていた絵本の常識みたいなものを打ち砕った作品の一つ。 絵本の背表紙には両手で大きな筆を持ち、まがまがしい姿の竜らしきものを迎えうとうとしている著者(多分)の姿も見える。 桂米朝の落語で予備知識はあったが、絵本の表現力の豊かさに圧倒されたことを覚えている。

【追記】 落語を「型絵染め」で絵本にしてしまった田島征彦さん。講演会では、作者ご本人にこの絵本を読んでいただいた。 話の中味は知っていても...ほんとおかしい。普段使い慣れていない言葉に出会い、私のように最初抵抗を感じるかもしれないけれど 子どもたちは大よろこびするのです、かならずと言っていいほど。

※参考書
『憤染記 田島征彦作品集』(染織と生活社/1995年)

※参考サイト
「世紀末亭」の【上方落語メモ】
⇒地獄八景亡者戯を参照 http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug101.htm

※その他の作品
そうべえごくらくへゆく』(童心社)
とんとんみーときじむなー 』(童心社)

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しごとをとりかえたおやじさん

しごとをとりかえたおやじさん ノルウェーの昔話
山越一夫(やまこし・かずお):再話
山崎英介(やまざき・えいすけ):画
福音館書店 200×270 32p 600円
1974/11/01 1988/08/20

おかみさんのすることなすことがすべて気に入らないという、気むずかしやでおこりっぽいおやじさんがいた。 牧草刈りを終えたある日の夕方。散らかった家の中を見た途端いつもの様に怒りだしたおやじさん。 そこで、おかみさんはお互いの仕事を取り替えようと提案した。おやじさんは気をよくして大喜びでその申し出を受け入れた。 次の日、おかみさんは牧草刈りにでかけ、残ったおやじさんはバター作りを始めた。途中でのどが渇いたものだから、地下室に降りてビールを飲むことにした。 ビールだるの栓を抜いた途端、台所でブタのなき声がする。たるの栓を戻すのも忘れて急いでとって返したのだが、 ブタはとっくにオケをひっくり返しクリームの味見中…。いつまで待っても「晩ご飯の仕度ができた」と、おやじさんが呼びにこないので、 しびれを切らして家に帰ったおかみさんが見たものとは?

MEMO 最後のページのおやじさんはまるで別人。そんなに簡単に人は変われないと思うけど…。 類話に『すんだことはすんだこと』(ワンダ・ガアグ/福音館書店)、『るすばんをしたオルリック』(デイビッド・マッキー /アリス館)がある。

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しごとをとりかえただんなさん

しごとをとりかえただんなさん ノルウェーの昔話
Turnabout
ウィリアム・ウィースナー:絵
秋野翔一郎(あきのしょういちろう):訳
童話館出版 250×205 32p 1400円
2002/09/15第1刷 2004/06/20第4刷

若い夫婦がいた。牛とニワトリを飼い、だんなさんは小さな家の周りの畑を耕して暮らしを立てていた。ある日の夕方のこと。 くたびれ果てて帰ってきただんなさんは、家の中で一日を過ごすおかみさんが楽な仕事をしているとぼやいた。 おかみさんは陽気に、明日から仕事を取り替えることを承知した。
翌日だんなさんはホウキを、おかみさんはレーキをかついで出ていった。家の掃除なんて簡単なものだと鼻歌まじりで仕事を始めたのだが…。 卵は割れるし、オートミールは溢れリンゴ酒は樽からこぼれて床の上。そんなこんなしている間にも、おかみさんはというと次々と牧草の山を積み上げていく。

MEMO 表紙の挿絵のホウキとクワ。 実際に取り替えたのはホウキとレーキ(草かきなど農作業に使う。ゴルフに使うバンカーレーキと同じようなもの?)。 おかみさんは軽々と使っている風なので木製か。だんなさんの印象はそんなに悪くない。おかみさんも飄々としている。 慣れない家事に悪戦苦闘するだんなさんに、同情というか苦笑してしまう。ついついもらしたグチがとんでもない事になってしまうお話。 あっけらかんとしたおかみさんは最高。読後の印象は『すんだことはすんだこと』(ワンダ・ガアグ/福音館書店)に近い。

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しちめんちょうおばさんのこどもたち

しちめんちょうおばさんのこどもたち
Auntie turkey's funny chicks
吉野公章(よしの・まさあき):さく
小野木学(おのき・がく):え
福音館書店 200×27031p 750円(本体728円)
1974/07/01発行 1994/10/01特製版
精興社:印刷
清美堂:製本
NDC913

ある春の日、しちめんちょうおばさんは沼のほとりでタマゴを四個見つけた。 「産みっぱなしにしたのは誰だ」と、まわりの鳥たちに聞いても誰も知らない。おばさんは、その場で自分でかえすことにした。 何日も何日も温めてようやく生まれたヒナたち。おぼれてはいけないと、沼のほとりから森に向って歩き出した。 森の動物たちは、しちめんちょうおばさんの一行を見て全然似てない親子だと不思議がるが…。

MEMO 左右の見開き2ページでで1シーンを表わす、奥行と広がりのある力強い挿絵。 みんなからとやかく言われても「私の子だ」と、おばさんは大切にする。全く似ていないおばさん親子の行進はユーモラス。だが子どもたちが本能に目覚めた時、別れが待っている。

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シベリア鉄道ものがたり

シベリア鉄道ものがたり
The Trans-Siberian Rail-road
宮脇俊三(みやわき・しゅんぞう):文
黒岩保美(くろいわ・やすよし):絵
福音館書店 250×195 44p 620円
1990/12/01発行
月刊「たくさんのふしぎ」1990年12月号(第69号)

新潟から飛行機でハバロフスクへ。 ハバロフスクから終点モスクワのヤロスラブリ駅まで8531キロ、5泊6日の旅。 「シベリアのパリ」と呼ばれるイルクーツクで途中下車。 まだまだ旅は続く…。

MEMO 時刻表、線路地図、ロシア号の列車編成表、客車・寝台車の模式図など豊富な挿絵。 8531キロの旅の道連れになった気分を味わえる。 10〜11pの車内の説明で「上段ベッドにはさくがないので、寝相の悪い人は転落防止用の太いロープか帯がいる」の記載に思わずうなずいた。寝相悪くなくても必需品だと思います。

「シベリア鉄道」関連の本

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島ひきおに

島ひきおに
山下明夫(やました・はるお):文
梶山俊夫(かじやま・としお):絵
偕成社 290×250 32p
1973年2月第1刷 1981年3月第11刷

広い広い海の真ん中の小さな島にひとりぼっちの鬼がいた。足を水にひたし、毎日毎日海の向こうをながめていた。 鳥や沖の船に声をかけるけれど、鬼の島に近づく者とていなかった。ある嵐の晩、たすけた漁師に何でも言うことを聞くと告げられ 「それでは、あんたらと一緒に暮らしたいがどうすればいい」と尋ねた。その場しのぎに言った漁師の言葉を真に受けて 一日目に鬼は島の底をけずり、二日目には太い縄で島をしばると、三日目の晩に島を引っぱって歩き出した。 ようやく人間の住む村にたどり着き、みんなを呼ぶ。「おーい、こっちゃ きて あそんでいけ!」と…。

MEMO 知恵を絞り鬼を島から追い出す人間たち。命を守るためには狡猾な手段もいとわない。 鬼は今も人を信じて海の中を歩き続けるという。10年後にその続編『島ひきおにとケンムン』が出たが未読。
『おにたのぼうし』あまんきみこ作(ポプラ社)・『泣いた赤おに』浜田廣介作(偕成社)とともに心優しい鬼が描かれる中で、この作品が一番好き。

※その他の作品
お父さんのかさはこの子です』(ひくまの出版)

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絵本・掲載許可申請中

しまふくろうのみずうみ
OUL LAKE
手島圭三郎(てじま・けいざぶろう):絵と文
福武書店 300×220 40p 1130円
1982/03/01初版 1993/07/10第24刷

北海道の山奥に誰も知らない湖がある。そこは鳥や獣や魚が住む豊かな土地。 日も暮れ山の端に三日月がかかるころ、湖のそばの大きな枯れ木に止まったしまふくろうの親子。 音も立てずにお父さんの狩が始まる。湖は深くて暗い。

MEMO 両翼を画面いっぱいに広げ獲物に襲いかかるダイナミックなお父さんの姿は圧巻。 …惚れてしまいます。黒を基調とするなか湖が青色を取り戻し白々と夜が空ける場面。

※フクロウ目フクロウ科。1971年、国の天然記念物に指定。 知床など道東方面に生息する全長約70センチの日本で一番大きなフクロウだが、現在絶滅のおそれを伝えられている。 主に川でサケやマスを捕る生活。アイヌの人々はこの鳥を「コタンクルカムイ(部落の守り神)」と呼んでいた。

※2002年の8月しまふくろうに出会った。残念ながらそれは剥製でホテルのロビーに飾られていたのだけれど。想像していたより、もっともっと大きな鳥だった。 今度は釧路市動物園に本物のしまふくろうを見に行かねば。

※もっと詳しく知りたい人に
⇒「久則庵」 http://www24.big.or.jp/~kyusoku/index.htm
⇒「しまふくろうの鳴き交わし」 http://www.dosanko.co.jp/sound/

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シャクンタラー物語

シャクンタラー物語 : インド古典劇より
原田章子(はらだ・あきこ):絵
ほるぷ出版 297×210 32p 1300円
1981/08/15第1刷

ヒマラヤのふもとの小国を、若くて勇敢で優しいドウシャンタ王が治めていた。 ある日、鹿狩りの途中で道に迷った王は、森の奥で若い娘たちに出会った。 中でも目を引くひときわ美しい一人の娘に、王に追われ仲間の群れからはぐれた一頭の鹿が近寄る。 ドウシャンタ王は隠れていた木陰から、思わず飛び出した。美しい娘は、森で修行する行者の一人娘シャクンタラー。 王は城へ帰ることも忘れ、楽しい日々をシャクンタラーと過ごしたが、城から迎えの使者がきたからには戻らねばならない。 王は、別れを悲しむシャクンタラーに王のしるしの指輪を渡し約束を交わす。盗み聞きしていた悪魔は、その指輪に呪いをかける…。

MEMO この物語はインドの宝ともいえる細密画により描かれており、その細密画に魅了された作者の後書きから引用する。

細密画は、ミニチュアールともいい、本来は経典や手写本のさし絵をさすが、一般には、小型で細い輪郭線を持った緻密な細部描写の絵をいう。その起源はB.C2000年代のエジプトまでさかのぼるが、インド細密画は、16,7世紀にイラン細密画の影響を受けて、主に宮廷美術として発達した。大きく分けて、ムガル絵画とラージプト絵画があり、 この絵本の絵はラージプト絵画の様式が用いられている。
この画法は民間信仰やそれに関連した古典文学や音楽と結びつき、15余りの流派に分かれながら、19世紀末まで描き続けられた。 男女の姿を神と人間の関係におきかえて暗示する画題が多く、技法としては、著しく形式化した平面的色彩で、遠近を無視した構図が特徴である。 その点、日本の大和絵の描写法と相通ずる点がある。

MEMO 4〜5世紀ごろ活躍したインドの詩人、カーリダーサの戯曲を細密画絵本にしたもの。 また、原作はヨーロッパに最も早く紹介されたサンスクリット文学で、ゲーテの『ファウスト』にも影響を与えているという。

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ジャリおじさん

ジャリおじさん
MONSIEUR JARRY
大竹伸朗(おおたけ・しんろう):絵と文
福音館書店 270×200 27p 800円
1993/08/01こどものとも年中向き発行
1994/11/20第1刷

いつもいつも海を見て暮らしていたジャリおじさん。ある日、ふと振り向いて気付いた、どこまでも続く黄色い道。 おじさんは歩き出した。「じゃり じゃり」。「このみちは どこへ いくの じゃり」。 おじさんは、一体どこにたどり着くのか、たどり着けないのか?

MEMO 表紙を見て分かるように、鼻の頭に毛が生えた変なおじさんが主人公。 長新太さんの「なんじゃもんじゃおじさん」とも違う不思議な人物。ページをめくるごとに、種々雑多なものが無造作に散りばめられ子どもの落書きみたい。最初に思ったこと…なんじゃこれは!

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じゅうにしものがたり

じゅうにしものがたり
瀬川康男(せがわ・やすお):作
グランまま社 270×210 30p 2000円
1991/1108初版 1994/11/03第3刷
2005年12月新装改訂版出版 価格改定1890円

神様がおふれを出した。年の初めに来たものから順に名誉な職を与えると。猫は、あわてずひと眠りした。 ところが肝心の「その日」がいつだったか忘れてしまい、そこで猫はネズミに聞いてみることにした。ネズミは一番になりたくて、競争相手の猫にその次の日を教えた。 だが小さい自分が一番になるためには思案がいる…。

MEMO 赤を多用した表紙とは一転して扉絵は濃淡の墨絵、タイトルに赤。 静かに、でも何かが始まる予感をさせる。ストーリーは知っているのに挿絵に引き込まれ、初めて読む錯覚にとらわれるのは何故か。 2005年12月新装改訂版が出版され価格も下げられた。新装って、どんな風に変わったのか…もう一冊求めたくなるぜいたくな絵本。
※エロール・ル・カインが描いた中国の民話 ⇒『ね、うし、とら・・・・・・十二支のはなし』と見比べるのも面白い。

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しょうぼうじどうしゃ じぷた

しょうぼうじどうしゃ じぷた
渡辺茂男(わたなべ・しげお):文
山本忠敬(やまもと・ただよし):絵
福音館書店 200×270 27p 380円
1963/10/01初版 1979/02/28第34刷

ある町の真ん中に、消防署があった。はしご車の「のっぽくん」は、高いビル火事には欠かせない。 おなかをふくらませた、高圧車の「ぱんぷくん」が力いっぱい水をはきだせば、どんな熱い火でも消えちまう。 救急車の「いちもくさん」も、なくてはならない存在だ。大きな火事があれば、人気者の三人が揃ってとびだして大活躍。

ところで、消防署のすみっこに古いジープを改良した消防車「じぷた」がいた。だれも「じぷた」のことなんか気にしちゃいない。 それどころか「なんだ、ジープを直したのか!」だなんて言う。そんな「じぷた」に、ある日出動命令がきた。 山小屋に行くまでの道がせまく、はしごじゃ届かない。今のところ、けが人もいない。 消防のおじさんたちは、斧をかかえて「じぷた」にとび乗った。ちっぽけなじぷたに、山火事が消せるのか。

MEMO 子どもたちは働く車が大好き。 近所の消防署や、毎日どこかで見かけるゴミ収集車にはお世話になりました。でも本当にいるんですねちいちゃな消防車、分団の車とか。 この絵本、ボロボロです。今でもばりばりの現役で、たいていの本屋さんで見かけます。

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スイッチョねこ

スイッチョねこ
大佛次郎(おさらぎ・じろう):文
安泰(やす・たい):絵
フレーベル館 265×213 31p
1975年8月1刷 1996年7月37刷

日が暮れると虫たちがいっせいに鳴き始める。縁側で猫のお母さんが三匹の子どもたちに注意をしていた。虫を取るのはいいけれど食べないようにと。 なかでも一番いたずらっ子のしろきちは、どんな味がするのか知りたくてとそっと近づく。鳴いていた虫は、しろきちがそばまで行くと静かになる。虫を待つうち眠くなって大きなあくびをひとつ。 そこへ何かが口に飛び込んできた。 多分虫だろうけど、丸のみしてしまったので味のほうはわからない。 しろきちは走ってお家に帰って、おかあさんのふさふさの胸の中で眠った…。 ところが、近くで大きな声の虫が鳴いてる。しろきちのお腹の下あたりで鳴いている。動くのをやめると鳴きだす。 「スーイッチョ、スーイッチョ!」ねこのお腹の中は暗いから、スイッチョにとってはいつも夜なのだ。 困りはてて、おかあさんとトラねこのお医者さまのところにやってきた…。

参考サイト
⇒「大佛次郎記念館」〒231-0862 横浜市中区山手町113番地
⇒「虫の音WORLD」スーイッチョという鳴き声は「ハヤシノウマオイ(直翅目キリギリス科)」かな。

MEMO 大佛次郎の『猫のいる日々』(徳間書店)は猫尽し。 そこで猫が好きな作家はどれほどいるのか、webcatで「猫・作家」で検索したら23550件ヒット。 『猫町』(萩原朔太郎/パロル舎)、『転がる猫に苔は生えない』(ブルース・E.カプラン/ソニー・マガジンズ)、『猫の比較文学 : 猫と女とマゾヒスト』(堀江珠喜/ミネルヴァ書房)と続く。
ちなみに『犬・作家』で検索すると25086件。『イヌはなぜ飼い主に似てしまうのか』(沼田陽一/PHP研究所)
猫で検索した時のような、なんだこれ?的なタイトルは少ない。なおも検索してようやく出てきたのがこれ『マルコの東方犬聞録 : 日本の犬だけには生まれ変わりたくない!』(マルコ・ブルーノ/ハート出版)、 『犬に精神科医は必要か』(P・ネヴィル/講談社)、『犬になりたくなかった犬/ファーレイ・モウワット/文藝春秋)

『猫のいる日々』--黙っている猫より 初出:昭和五十年十月・キング(徳間文庫/1994年初版)(2006/01/30追記)

猫は、ものごころのつく頃から僕の傍らにいた。これから先もそうだろう。
僕が死ぬ時も、この可憐な動物は僕の傍らにいるに違いない。

MEMO 子どもの頃読んだ、つまり昔の本は多分こんな感じだったんだろうなと思わせる優しい文章。 表紙の寄り添う子ねこたちは、はるか彼方を見上げてる。どこを、そして何を見ているのだろうか。本文との関連がつかめない。虫の声を聞いているのか?

※その他の作品
ねこがいっぱい』猫アンソロジー(八木田 宜子:編/講談社)
『狼少年』(湘南書房/1946)
『角兵衞獅子』(湘南書房/1948)
『花丸小鳥丸』(湘南書房/1947)

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スガンさんのやぎ

スガンさんのやぎ
ドーデー:原作
岸田衿子(きしだ・えりこ):文
中谷千代子(なかたに・ちよこ):絵
偕成社 210×260 33p 1200円
1966年12月第1刷 1998年08月第21刷

スガンさんはヤギが好き。けれど、スガンさんの飼うヤギはみんな山の中に逃げ出してしまう。6度も逃げられて、その度にオオカミに食われてしまった。 もうヤギを飼うのはよそうと思ったのだが、結局7匹目を飼うことにした。今度は若くて可愛いメスのヤギでブランケットと名付けられ、スガンさんに大切に育てられた。
ある日、ブランケットは遠くに山が見えるのに気がついてからというものは庭の草がまずく思えて食欲もなくなった。 「山へ行かせて」とスガンさんにおねだりしても、とりあってもらえない。ブランケットはとうとう小屋を飛び出し山までかけていった。 首にかけられたナワもなく囲いもない広々とした大地に生えてる草は、今まで食べていた庭のものとは大違い。 はるか下を見おろすと、今まで飼われていたスガンさんの家と畑が見える。今まで自分はあんなにちっぽけな所にすんでいたのか 。時のたつのもわすれて夕方になるまで思う存分遊びまわって自由を楽しんだが、ブランケットは大事なことを一つ忘れていた。

MEMO 「アルルの女」と同様、『風車小屋だより』に収められた一篇。 前半の、ゆったりのんびりした雰囲気から、急展開するヤギとオオカミの死闘の場面は思わず息をのむ。

※その他の作品
かばくん』(福音館書店)
ジオジオのかんむり』(福音館書店)

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絵本・掲載許可申請中

すってんてんぐ
木曽秀夫(きそ・ひでお):作/絵
サンリード 290× 30p
1984年初版

「てんぐどん」が山の神さまだった、ずっとずっと昔のこと。 日でりの時には雨を、悪い病気も「てんぐうちわ」をひとふりすればお終い。 てんぐどんには、お供え物のご馳走ずくめ。そのせいか顔は真っ赤っか。ところが時が移り、隣の山にお宮ができてからというものはさみしい毎日。 お供え物もなくなって、今ではうちわも使い物にならず、やせて青い顔したてんぐどん。働けばご馳走が食べられると、そう思って町に降りた。 左官屋さん、畳屋さん、豆腐屋さん、傘屋さん…どこに行っても、何をやっても、ご自慢の長い鼻がじゃまをする。さてさて、どうしたものか。

MEMO 失敗続きのてんぐどん。愉快で単純で笑える絵本。 働く人々の表情は豊かで、コミカルな挿絵。文章が読めなくても十分ストーリーが追える。だからといって決して書き込み過ぎではない。

※サン・リード社の注より…この絵本は『エースひかりのくに』(1982年11月号)に掲載されたものに全面改編を加え新しく書きあらためたものです。

※その他の作品
かいじゅうぞろぞろ』(文研出版)

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すてきなバスケット

すてきなバスケット
小沢正(おざわ・ただし):作
佐々木マキ(ささき・まき):画
福音館書店 200×270 32p 750円
1977/08/01発行 1994/05/01特製版

はらぺこオオカミは森の中でこぶたとこうさぎを見つけた。バスケットをさげたちびすけ達は、ころんころんで美味しそう。 でも、あまりにもチビなので心が痛む。オオカミが悩んでいるとも知らず、二匹は草の上に腰を下ろした。なんだか二匹が気楽なことを言っているうちに バスケットの中から、こぶたの大好きなキャベツが転がり出た。バスケットの中から、こうさぎの大好きなにんじんが一本飛び出した。 木陰から飛びだそうとしたとたん木の根っこにつまずいて、獲物を取り逃がしてしまった。後に残ったのは空っぽのバスケットひとつ。そこへキツネがやってきて…。

MEMO こまかい部分まで描き込まれていて一見ごちゃごちゃしているようだが、 シンプルな線描きの登場人物たちが森の中でくっきりと浮かび上がるしかけ。単純化された後期の作品と比較すると面白い。

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スーホの白い馬

スーホの白い馬--モンゴル民話
大塚勇三(おおつか・ゆうぞう):再話
赤羽末吉(あかば・すえきち):画
福音館書店 240×320 47p 980円
1967/10/01初版 1982/04/20第34刷

中国の北方モンゴルに住む人々は、昔から羊、牛、馬などを飼ってきた。その地に馬頭琴(ばとうきん)という楽器があるのをご存知だろうか。 そして、その楽器がどうしてできたかを。

むかしスーホという貧しい羊飼いの少年がいた。ある日のこと、地面に倒れてもがいている生れたばかりの白い子馬を助けた。 スーホは心をこめて白い子馬の世話をした。月日は過ぎ、ある年の春のこと。競馬の大会で、先頭を飛ぶようにかける馬は、スーホの乗った白い馬。 一等になった者はお姫様と結婚できるという。殿様は身分が違うと「おふれ」に書いた約束を果たさないばかりか、 腕ずくでスーホの白い馬を取り上げ彼を追いはらった。眠れぬ夜を幾晩も過ごしたが、スーホの悲しみは深くて消えない。 そんなある晩のこと、とろとろと眠りこんだ時にスーホは夢を見た…。

MEMO 途中で声が詰まって、平静を保つのに苦労する絵本のうちの一冊。 子どもたちが心配そうにこちらを見てるのがわかる。何回読んでも同じところで涙声になるから。

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生物の消えた島

生物の消えた島
田川日出夫(たがわ・ひでお):文
松岡達英(まつおか・たつひで):絵
福音館書店 310×230 32p 1000円
1987/01/30発行

赤道の南、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間にあるクラカタウ島(現・大ラカタ島)。 この島は百年前の大噴火により、島の半分以上が吹き飛び、あらゆる生物が死に絶えた死の島となった。 また、そのときに起きた津波は鹿児島市の甲突川にも押し寄せた。計算によると、発生当時の波の高さは40メートルあったという。 やがてその島にも生物の存在が確認された。彼らは一体どこから、どのようにしてやってきたのか。

MEMO 福音館の科学シリーズ。 簡潔な文章で無駄なく解説され、写実的で本格的な絵が理解をたすける。 木の実や種。生まれたばかりの時、お尻から糸を出して風に乗って飛ぶクモの子、 流木とともにたどり着いたアリや土の中に住む小さな貝など。鳥のフンに混じった種子。年月がいろいろな物を運ぶのですね。 挿絵に登場する解説の人は、掲載写真の田川先生そっくり。挿絵の松岡達英は自然科学のイラストレーターとして活躍。

※参考サイト
⇒オフィシャル・サイト「松岡達英のアトリエ」 http://niigata.cool.ne.jp/greenworks/

※その他の作品
海辺のずかん』(福音館書店)
ぼくのロボット大旅行』(福音館書店)

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せかいいちの ごちそう

せかいいちのごちそう
舟崎克彦(ふなざき・よしひこ):作
佐々木マキ(ささき・まき):絵
理論社 230×190 70p 780円
1979初版 1980第4刷

へっぴり谷にすむ「むっつりおおかみ」。こいつの歩いた後には、でんでん虫のカラ一つ残らない。 そんなもんで、この谷の動物達はちょっとでもオオカミの気配がすると「むっつり、まっぴら」と、じゅもんをとなえて逃げだした。 むっつりおおかみは、たいていのものを食べた。しまいには飽きてしまったので、へっぴり谷を下りることにした。 「おれ様の口にあう、世界一のごちそうを探しにいくのよ」なんてね。
谷を下り、森を抜け林を駆けすぎた。 まだ行ったことのない人里の方から美味そうな匂いがする。いちばん美味い物を食っているのが人間なら、人間こそが探し求めていた物じゃないか。 しかも子どもが、野球帽をかぶりだぶだぶのユニフォームを着てどこからか飛んでくるボールを打ち返してる。こいつが世界一でなきゃ、なんだってんだ。

MEMO 海にもぐったり、空を飛んだり。 ようやくのこと世界一のごちそうにありついた「むっつりおおかみ」。だがそうなると、残る世界一のごちそうはというと…。ユーモラスな本は挿絵の力も大きい。

※舟崎克彦のその他の作品
ぽっぺん先生 地獄へようこそ

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セロひきのゴーシュ

セロひきのゴーシュ
宮沢賢治(みやざわ・けんじ):作
茂田井武(もたい・たけし):絵
福音館書店 220×200 56p 定価不明
1966/04/01初版 1981/12/10第31刷

町の活動写真館でセロを弾く係のゴーシュ。 彼は10日後に町の音楽会で演奏することになっている。今日も仕事の合間に、楽屋で金星音楽団の仲間と練習をするが、なぜか彼だけがみんなから遅れる。 何度もやり直すが団長の怒りを買うばかり。その夜遅く、町外れの水車小屋に帰ってきたゴーシュ。セロを自宅に持ち帰り、目が血走り顔も真っ赤になるまで練習した。 夜中も過ぎた頃、扉をたたく音がする。入ってきたのは、いつも近所で見かける大きな三毛ねこだった。ねこは生意気にもシューマンのトロイメライを所望した。 ゴーシュの音楽を聴かないことには眠れないのだという…。

MEMO ゴーシュと聞くと、この挿絵を思い浮かべる。1926年賢治36歳の頃の作品といわれる。 子どもには聞きなれない言葉があるが、ストーリー全体を丸ごと受け止めているのか、それぞれの年齢に応じて楽しんでいた。 動物たちがゴーシュの音楽から逃れようとする場面は、幼い子にも十分通じたようだ。作家に対する先入観もなく(自戒)、純粋に文章と絵を楽しんだ作品。 登場回数の多かった絵本の一冊。

※参考文献
『《ゴーシュ》という名前』セロ弾きのゴーシュ論/梅津時比古/東京書籍/2005
『《セロ弾きのゴーシュ》の音楽論』音楽の近代主義を超えて/梅津時比古/東京書籍/2003

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そうべえごくらくへゆく

そうべえごくらくへゆく
田島征彦(たしま・ゆきひこ):作/絵
童心社 251×256 48p 1480円
1989/10/20第1刷 1990/02/20第5刷

軽わざしのそうべえは、今日も危険な綱わたり。近くでは、山伏のふっかいが近々起こるであろう災難のお告げのまっ最中。 災難はまたしてもそうべえ、ふっかい、ちくあん先生の上に…。たどり着いた地獄ではえんま大王を巻き込んでの一騒動。 隣り合わせの地獄と極楽。極楽を騒がせたかどで、とうとう明日は地獄に逆戻り。 牢屋には絵描きの「ゆきえもん」が、阿弥陀様をぶさいくに描いた罪で入れられていた。

MEMO 田島さん、登場するの好きですねぇ。当然のことながら…似てる。

※その他の作品
じごくのそうべえ』(童心社)
とんとんみーときじむなー 』(童心社)

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そばがらじさまと まめじさま

そばがらじさまと まめじさま
小林輝子(こばやし・てるこ):再話
赤羽末吉(あかば・すえきち):画
福音館書店 200×270 32p 630円
1980/10/01発行 1987/01/10特装版

むかし、そばがらじさまと、まめじさまという、二人のじさまがいた。 魚をとるのにもってこいの大雨のあと、そばがらじさまは川上に、まめじさまは川下に”ど”*1を仕掛けた。次の日、そばがらじさまは、”ど”にかかっていた白い犬をはずすと、べんがり?川に投げ捨てた。 犬は川下の”ど”に引っかかり、まめじさまに拾われた。いっぱい くわせれば いっぱいだけ、にはい くわせれば にはいだけ… 食わせれば食わせるだけ大きくなる、可愛い犬の子。
ある日、まめじさまは大きくなった犬を連れ狩りに出かけた。 犬は ”あおじし” *2を何頭も追い出しつかまえた。 毎日、ごちそうの”ししじる”を食べるまめじさまとばさま。それなら自分もと、まめじさまがら犬を借り、いやがるのを無理矢理引きずり山へと向かう、そばがらじさまだが…。

*1ど…うなぎ、えび、小魚などをとる竹で編んだ道具。
*2あおじし…青鹿と書く。あおじし、あおしか、かもしか。

MEMO 「花さか爺」の原型といわれる「雁取り爺」の話という。「むかし あったけずおん」で始まる文章。 これってどんな感じに読むんだろう? 意味のわからない注釈つきの言葉がいくつか出てくるが、それだけ再話が原型に近いと言うことだろうか。 話の雰囲気を大事にしたのかな。ところで、赤羽さんの挿絵の「あおじし」が、私にはカモシカに見えないんだけど。

MEMO ストーリーの似かよった民話の音声データベースが下記参考サイトにある。 仕掛けの「ど」がデータベースでは「やなっこ」だったり、結句の「とっぴん ぱらりの ぷう」が「どんとはれ」など、ところどころ違う部分がある。 東北の言葉は耳に優しい…心にも。
⇒「Higuchi Atsushi Homepage」 「ほんとうの花咲かじいさん―雁取り爺」(日本民話データベース)
佐々木健さん(宮城県宮城郡利府町)の語りで、本物の話を聞こう。

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ソメコとオニ

ソメコとオニ
斉藤隆介(さいとう・りゅうすけ):作
滝平二郎(たきだいら・じろう):絵
岩崎書店 32p 1080円
1987/07/30第1刷 1995/06/15第19刷

「あっちゃ行って遊べ、良い子だからナ」。大人たちが相手にしてくれなくて、ソメコは毎日退屈していた。 ある日、おままごとに付き合ってくれ泥ダンゴまで食べる真似してくれた、優しいおじさんに連れられて …じゃなくて、さらわれて、やってきたのはオニの岩屋。ところが、ソメコは念願かなって二人っきりで遊べると大張り切り。 この調子だと、身代金のことを手紙に書くヒマもあるかどうか。オニもソメコにかかってはどうしようもなくて元の姿に戻って、おどかしたつもりが…。

MEMO 5つの女の子に困り果てた鬼の顔はどうですか。 ソメコとオニのやり取りに、思わず笑ってしまい、また何度読んでもおかしい。 斉藤隆介の作品の中ではめずらしいストーリー。初出 『ベロ出しチョンマ』(理論社)の2話目に収載されている。 作者の没後『ひばりの矢』『ユとムとヒ』に次ぎ絵本化された。

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そらいろのたね

そらいろのたね
中川李枝子(なかがわ・りえこ):作
大村百合子(おおむら・ゆりこ):絵
福音館書店 180×260 27p
1964/04/01発行 1978/03/01普及版第1刷

ゆうじはもけいひこうきを、キツネの宝物の「空色の種」と交換した。急いで家に帰ると、庭の真中に種を植え「そらいろのたね」と、札も立てておいた。 次の朝早く見てみると、土の中からお豆ぐらいの芽が出ていた。どうやら、キツネの宝物は本物みたい。 それからヒヨコが入れるぐらいに大きくなり…ほんとにヒヨコが入っちゃった。次はネコに、ブタに、とうとう、ゆうじまで入れるぐらい大きくなった。 宝物は、まだまだ大きくなって…。

MEMO 宝物のはずなのに、ポケットの中に入ってたのは何故かな… なんて堅いことは言わないけど、「そらいろのたね」がこんなにすてきな宝物だったなんて、意外でしたね。絵本っていいですね♪

※その他の作品
いやいやえん』(福音館書店)
たんたのたんけん』(学習研究社)
ももいろのきりん』(福音館書店)
森おばけ』(福音館書店)

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空とぶメダカ

空とぶメダカ : 絶滅危惧種メダカのふしぎ
中村滝男:著
岩松鷹司:監修
森上義孝(もりうえ・よしたか)・宮崎耕平(みやざき・こうへい):絵
ポプラ社 230×185 79p
1999年6月第1刷

「高知県生態系保護協会」が「*めだかトラスト」に取り組むことになった。 その最初の活動が、メダカを探すことであった。 新聞紙上で「メダカさがし隊」をつのり、10月末に150人が用水路や小川を探した。メダカは一匹も見つからなかった。 次々と情報が入るが「オイカワ」や「カダヤシ」で、メダカではなかった。そんなころ、小学生から「家の前の小川にメダカがいる」という手紙が届いた。 川の両岸は真っ直ぐなコンクリートで水深は30cmほど。家庭排水が流れ込み、川としての条件も悪い。 そんな汚れた川に、本当にメダカは住んでいた。排水溝を経て農業用水路からやってきたため、元の場所に自力で戻れないのだ。
その後いくつかの情報が寄せられ、メダカの生息が確認された。だが高速道路や宅地造成予定地で、いずれメダカは住みかを失うことになる。 一週間後に宅地造成を控えた「メダカの楽園」、高知市池地区の溜め池のメダカたちの救出作戦が始まる。

メダカ、フナ、ドジョウ、ミズカマキリ、タイコウチ、ヤゴ、源氏ボタルの幼虫、沢ガニ、イシガメ、ウシガエル…。 種類ごとに里親に貰われてゆき、源氏ボタルの幼虫は隣の谷川に移された。メダカやヤゴは三里小学校のプールに一時避難することになった。 その後、ようやく春野町の休耕田が「めだかトラスト1号地」としてオープンする。 さまざまな取り組みの中で不思議なことに気づく。どこからも水の流れ込んだ形跡のない場所に、何千匹ものメダカを発見した。 「もしかして、メダカは空をとぶのではないだろうか?」。その疑問は、いくつかのできごとのなかで確信を深めていく…。

*めだかトラスト=子どもたちが水辺の生き物と遊べる自然のままの公園を、自分たちで作る市民運動。

参考サイト
⇒「高知県生態系保護協会」 http://www.h7.dion.ne.jp/~ecokochi/
⇒三里小学校郷土資料室 http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/5781/school/medaka.htm
⇒「日本めだかトラスト協会」 http://www.h7.dion.ne.jp/~ecokochi/medakatrust.htm

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そら、にげろ

そら、にげろ
赤羽末吉(あかば・すえきち):作
偕成社 230×260 40p 980円
1978年11月1刷 1979年11月3刷

むかしむかしのお話。旅人が犬に追われてつまずいた途端、着物の模様の赤い千鳥が逃げ出した。 追っかけて、追っかけて…追っかけて、秋が過ぎ冬がゆき、桜吹雪の舞う中を、追っかけて…追っかけて。

MEMO 満開の紅梅の下を飛脚?が走る、ひたすら走る、追いかける。 文字は殆どありません。デフォルメされた絵巻物風の挿絵が楽しい。

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そらまめくんとめだかのこ

そらまめくんとめだかのこ
Broad bean helps the lost fish
なかや みわ(中屋美和):作
福音館書店 200×270 28p 743円+税
1999/04/01こどものとも発行
2000/09/15こどものとも傑作集 第1刷
2002/06/10第14刷
ISBN-4-8340-1701
精興社:印刷
清美堂:製本

長い長い雨で遊び場が水たまりになってしまった。 グリーンピースのきょうだいたちも、えだまめも、さやえんどうも、ピーナッツくんも、みんな喜んでベッドを水に浮かべて遊んだ。 サヤのベッドがお舟代わり。でも、そらまめくんは真っ白でふわふわのベッドを水になんかぬらせない。 そらまめくんは、丈夫そうなピーナッツくんの舟に無理やり乗り込んだけど、ひっくり返って水の底。
ここは水たまりのはずなのに、めだかの子が泳いでいる…どうしてかな。

MEMO めだかの子救出作戦。 目元、口元が微妙に変化するお豆さんたちの表情が可愛く、シンプルな挿絵は状況がわかりやすい。表紙はベッドに横になり、ご満悦のそらまめくん。

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そりになったブナの木

そりになったブナの木
神沢利子(かんざわ・としこ):ぶん
田畑精一(たばた・せいいち):え
国土社 220×245 32p
1974/02/25初版 1974/06/05第4版

山の中で子ウサギたちが跳ねまわるのをながめているブナの木。ウサギはいいなあ、とんぼ返りができるし、どこへでも行ける。 「つぃぴん つぴぴん」 と鳴く小鳥はいいなあ、好きなところに飛んでいけるからと、と自分以外のことなら何でもうらやましそう。

それから何年もたち今ではブナの木は一人前になった。まわりでウサギが遊び、鬼ごっこのリスたちが幹を登ったり降りたり。 くすぐったいと体を揺らすとドングリがぱらぱらとこぼれ落ちる。とても幸せなブナの木。そんなある冬の雪の日、木こりがやって来て突然ブナの木にノコギリをあてた 。気がついた時、ブナの木は切り倒され小さな板切れになっていた。小さな子どもが二人、こちらをのぞきこんでいる。
いまでは、こどもたちのソリになったブナの木は自由自在に山を駆け空を飛ぶ。

※その他の作品
ふらいぱんじいさん』(あかね書房)

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